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Technical writing

文字のない本(LEGO Technic 虎の巻)

テクニカルライター仲間の五十川君が「LEGO Technic 虎の巻」という文字のない本を作りました。

この本を筆者は「LEGO Technic(レゴ・テクニック)のすべての知識とノウハウをギッシリと詰め込んだ本」 と紹介しています。

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「LEGO」は1934年にデンマークで生まれたプラスチックのブロックを組み合わせていろいろなものを作って遊ぶおもちゃ。皆さんも子供の頃一度はお世話になったことがあると思います。

この「LEGO」にギヤや車輪、シャフトやジョイント、モーターなどメカニカルな部品が加わったのが「LEGO Technic」、さらにパソコンで制御可能な部品を加えた「MINDSTORMS」へと進化する。

「LEGO Technic 虎の巻」は215ページのPDFで、配布はインターネットのみのシェアウエア。気に入ったらお金を払ってちょうだいというもの。内容も配布方法も実験的な試みです。この本の解説や入手方法は以下のURLにあります。

日本語→ http://www.isogawastudio.co.jp/legostudio/toranomaki/jp/


英語 → http://www.isogawastudio.co.jp/legostudio/toranomaki/en/

ページを開くと最初にこの本の主旨やシェアウエアについての説明が日本語と英語で書いてあるだけで後は全く文字はなく、ひたすらカラー写真の作例が並びます。

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タイトルはアイコン化されたイラスト、動作を示唆するときはアイコン化されたイラストと矢印、とことん文字を排除しています。唯一長さや比率を表すときとページ番号にのみ数字が使われています。

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「LEGO」はユーザーの自由な発想でいろいろなものに変身する。そこに手順やルールはなく必要なのは発想や 想像なのです。例えばクレーンを作りたいと思ったときに、ただブロックを積み重ねただけでも想像の世界ではクレーンになります。滑車やギア、車輪などを組 み合わせて形や動きを忠実に再現することもできます。「これがクレーンです」といった完成形はありません。

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「LEGO Technic 虎の巻」は 「LEGO」の高度な作例を紹介することで、ユーザーが自分の作品作りのヒントとし、応用できれば良いというコンセプトなのでしょう。だから手順もいらない、説明もいらない、詳細が見える写真だけで良い。文字がないから国境もない。反響は全世界からあるそうです。

しかし、この手法をなんとか実際の製品マニュアルに応用できないものですかね?

DVD作っていました

気がつけば年も明け、明日から3月、もう春ですね。
昨年から今年にかけて物作りの最終段階にDVD制作、コンペの資料作りと仕事が重なり、ついついブログも後回し。
DVDは、頸椎損傷者のための在宅リハビリガイドというもので、日本せきずい基金というNPO法人からの依頼でした。私としては十数年ぶりのビデオ制作 だったのですが、この十数年でビデオ編集の現場も大きく様変わり。DVDプレス用の最終オーサリング以外はすべてパソコンでできてしまいます。
昔は秒単位の編集シートを作り、1時間数万円という編集室を借りて行っていたビデオ編集作業もマウスドラッグで簡単にできてしまいます。しかも、音声の編集やテロップなどの文字を入れる作業も同時にできます。
変わらないのは作業がリアルタイムでしかできないというくらい。こればかりはしょうがない。
問題はビデオ編集ソフトが高額なことと、処理速度が速く、HD容量の大きなパソコンが必用なことですかね。
当初トータルで45分以内という目標が100分近くという大作になってしまいましたが、そこはDVD、数分単位のストーリーをメニューで構造化。ビデオテープみたいに連続して見なくてすむのがDVDのメリット。内容重視でほぼ満足できる作品ができました。

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興味がある方は「日本せきずい基金 http://www.jscf.org/jscf/index.htm」へお問い合わせください。

はじめてのあっぷる

懐かしついでにApple IIcの話題をもうひとつ。Apple IIcの発売を直前に控えたある日、販売代理店から「もっとユーザーに役立つ企画を考えてほしい」と、当時いっしょに仕事をしていた制作会社のA氏に依頼 がありました。そして完成したのが「はじめてのあっぷる」という副読本。Apple IIcを買うともらえるというもの。後に小学館から市販され、そこそこ売れたと記憶しています。

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「はじめてのあっぷる」は製品添付のマニュアルではないので、思いっきり自由な発想とA氏のコンピュータに対する思い入れを詰め込んだ、当時としては画期的なパソコン初心者向けの書籍に仕上がりました。
童話風のプロローグとエピローグ。Q&A方式のコンピュータ相性診断プログラム。アプリケーション紹介やトラブルシューティング、クイックリファ レンス、用語解説。パソコン初心者が知りたい、わからないと思うことをとことん追求し、答えを盛り込んだのです。「入力」という言葉ですら「わからない」 と言われた時代、ほのぼのとした優しさが伝わってきます。
しかし、制作現場は修羅場でしたね。夜なべ徹夜は当たり前、印刷入稿が午前2時なんてこともありました。1984年の夏でした。

パソコン黎明期のなつかしい話題

いやー、ちょっと本業が忙しく、ずいぶんブログを休んでしまいました。
ところで、先日物置を片づけていたら、なつかしい雑誌がでてきました。
1984年12月小学館発行の「写楽」という、当時の若者向けトレンディー雑誌。この中に「あっぷるで空を飛ぶ-最新アップルIICの世界」という6ペー ジの特集記事が掲載されているのですが、実は私の原稿。今でもマイクロソフト製の「Flight Simulator Series」として発売されているソフトの原型「Flight Simulator II」の紹介記事です。当時最もトレンディーなパソコンとして発売されたApple IIcの広告も兼ねたものでした。

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当時他にも話題になった「Life and Death」という医療シミュレーションゲームもありましたが、いずれにも共通して言えることは、ソフトの開発にプロが参加し、パソコンのゲームだからといって妥協していないことです。
「Flight Simulator II」を最初に開発した会社は、本物のFlight Simulatorを開発していた会社だったと聞いています。その後マイクロソフトが買収し、多少ゲーム性を強くして発売したのですが、あまりもの不評で 元に戻したということもありました。その後「Flight Simulator II」は実際の飛行学校の正式教材となり、実技試験の時間短縮が認められるまでになっています。
「Life and Death」の開発には、医師が何人も参加し、患者に投与する薬やその量、手術に使う器具や装置は実際の医療現場と同じだったと聞いています。モニターの カラー化が進むと、手術シーンがあまりにもリアルだということで発売禁止になったとかならなかったとか・・・。こちらも医学生必須のソフトと言われていま した。
最近のゲームは、とんでもなくグラフィックがきれいで、動きもリアルです。しかし、昔ほど感動的なものは少なくなってしまった気がします。ハードもソフトも進歩しすぎたからかもしれませんね。
パソコン黎明期のなつかしい話題でした。

携帯用のBluetoothヘッドセット

先日携帯用のBluetoothヘッドセットを買いました。私の携帯はBluetooth非対応なのでヘッドホン端子に付けるタイプのアダプタも買いました。
デザインの良さでヘッドセットを決め、小ささでアダプタを決めました。ところがどうしても繋がらないのです。買うときに仕様は調べたはずなのに。
ヘッドセットをパソコンに繋いでみたら、これはうまく繋がりました。そこではたと気がついたのがパスキーという4桁の数字です。Bluetoothヘッドセットをパソコンに繋ぐときにはパスキーが必要です。このパスキーはヘッドセットのマニュアルに書いてありました。
でも、携帯のヘッドホン端子に付けるタイプのアダプタなのでパスキーは入力できないのです。マニュアルにもパスキーのことは一言も書いてない。それでしょ うがなくアダプタと同じメーカーのヘッドセットを買いました。当然問題なく繋がりました。そしてそのヘッドセットのマニュアルには、最初に買ったヘッド セットとは違うパスキーが書いてありました。
最初に買ったヘッドセットは米国製、アダプタは日本製。パスキーは装置ごとに決まっていて変更することはできません。セキュリティーというより装置を認識 するためのもののようです。私は買う前にインターネットでいろいろと調べたのですが、アダプタの説明か仕様にパスキーのことがちゃんと書いてあればこんな 無駄な出費をしなくてすんだのに。後でいろいろと探したら、米国製のアダプタを販売しているあるショップサイトには書いてありました。私が見つけたのはそ こだけでした。メーカーのサイトや他のショップサイトにはどこにも書いてなかった。しかし、米国と日本でパスキーが違うというのも納得がいかない。

早く元気になーれ!

先日、久しぶりにテクニカルライター仲間の飲み会がありました。名目は昨年の暮れに行う予定だった忘年会がうやむやになったままで気持ちが悪いので けじめをつけようというもの。10名ほど集まったのですが、ここ○○年メンバーが変わらない。かなりの人がマニュアルから離れている。世代交代もない。
世の中に製品は溢れマニュアルの需要はあるはずなのに、なぜ・・・?
私の経験から推測すると、景気が悪くなると一番先に切り捨てられるのがマニュアル。バブル崩壊以来景気の低迷が続いたのでマニュアル不況が続いている。最近ようやく景気も回復気味なのでマニュアル不況も回復してくれるといいのだが。
仕事がないと人を入れる余裕がない。仕事が忙しいと人を育てる余裕がない。世代交代がないのはこのせい・・・?

プロフェッショナル

 

某テレビ局で「プロフェッショナル」を紹介する番組があります。先日たまたま見たのは住宅の建築家。インタビューでいろいろな話をしていましたが、 特に私の印象に残ったことは、打ち合わせでお客の希望を直接聞くのではなく、雑談の中から生活習慣や好みを聞き出し、そのお客に合った家を提案する。なぜ なら、お客には漠然とした希望はあっても家そのものは見えていないからだそうです。また、「楽しくなくてはいい仕事はできない。」、「条件が困難なほどいい仕事ができる。」など、マニュアル作りにも当てはまりそうな考え方に共感を覚えました。
さまざまな制限の中で、プロとしてどうしたら理想のマニュアルを作ることができるのか?とても考えさせられた番組でした。
「武士は食わねど高楊枝」では会社も生活も成り立たない・・・

 

テクニカルライターの気分転換

先日、朝日新聞の天声人語で「数独(SUDOKU)」というパズルが欧米で大流行していることを紹介していました。20年程前ニコリ社という出版社の鍛冶社長さんが考案したパズルだそうです。
縦横9列のマス目に1から9までの数字を入れていく一見単純なパズルですが、縦横どの列にも1から9の数字をダブらないように入れなければなりません。さ らに、縦横を3分割した9つのブロックの中も1から9の数字をダブらないようにしなければなりません。最初はあらかじめいくつかの数字が一見無作為に入っ ているのですが、これらの数字から空欄に入れる数字を探し、最終的にすべての空欄を埋めなければなりません。
すでに入っている数字を、縦、横、ブロックの3つを比較し、ここにはこれしか入らないという数を探していくのですが、けっこう集中力必要です。また、かなりいろいろな方向から比較しないと入れるべき数字が見つかりません。
こじつけではありませんが、テクニカルライターが原稿を書くときの行動と相通ずるものがあると感じました。
テクニカルライターも長年やっていると、つい自分なりの思いこみや、妥協で執筆してしまうことがあります。このパズルは推測や妥協では解けません。執筆に 行き詰まったらこのパズルをして頭をリフレッシュするのもいいかなと思いました。まさに、テクニカルライターの気分転換にぴったりのパズルかも。

テクニカルライターの資質

テクニカルライターがマニュアルの執筆中にわからないことにぶつかったとき、次の3種類のいずれかの行動をします。

1. 考える。
2. 既存の知識だけで執筆する。
3. 人に聞いたり、資料を探して学習する。

1の「考える」は、過去に学習したことがあれば思い出す、なければ見当も付かない。これが我々みたいな普通の人。ゆえに、まったく無駄な行動。
2の「既存の知識だけで執筆する」は、けっきょく知らないことをもっともらしくこじつけて自己満足しているだけなのでユーザーには理解されない。その前にクライアントからダメ出しがでるでしょう。
3の「人に聞いたり、資料を探して学習する」、これぞテクニカルライター。
例えば新製品のマニュアルの原稿を書くということは、設計から携わってでもいないかぎり、過去に学習したことがないものの説明をするのと同じです。つま り、知らなくて当たり前。だから仕様書を読み、試作品をいじって学習します。それでもわからないことは勉強するか知っている人に聞くしかありません。
でも、新製品に盛り込まれたノウハウを勉強するといっても書店や図書館に資料があろうはずがありません。ということは、開発に携わった人に聞くしかありません。
ところが、これがけっこう至難の業。そこで要求されるのがコミュニケーション能力です。相手から自分が理解できるように説明を引き出さなければなりません。
私は、この能力、つまり「EQ」こそが最もテクニカルライターに要求される資質と考えます。

テクニカルライターと「EQ」

私は毎朝ラジオを聞きながら車で通勤しています。今朝、最近企業で「IQ」ではなく「EQ」が注目されている、という話を聞きました。
早速ホームページを検索すると、いろいろなサイトがヒットしました。
EQはEmotional intelligence Quotientの略で、総合的コミュニケーション能力のことだそうです。あるサイトでは40の質問でEQ度の評価をしてくれます。
これって、まさにテクニカルライターに求められている資質ではないかと思いました。テクニカルライターに求められる資質って、製品の専門的な知識とか、国 語力じゃない。その製品を買ったユーザーがどのように使うかを予想し、ユーザーがマニュアルを必要としたときに、いかに目的の説明に的確に到達させるかを 考えて表現できることなのです。ユーザーにはいろいろな人がいます。皆が自分と同じと思ったら大間違い。普段自分の殻に閉じこもりがちな人では他人のこと はわかりません。いろいろな人とコミュニケーションし、客観的に人の気持ちを理解できる人。まさに「EQ」度の高い人がテクニカルライター向きだと私は思 います。
今までテクニカルライターの実力を評価する尺度というものがなく。学校の成績みたいに国語力などの学力で評価されることが多く、私のように国語や数学が苦 手なライターはなんとなく引け目を感じていたのですが、これからは「EQ」でテクニカルライターを評価する時代がくるかも、と、今日はちょっとうれしく感 じられた一日でした。