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文字のない本(LEGO Technic 虎の巻)

テクニカルライター仲間の五十川君が「LEGO Technic 虎の巻」という文字のない本を作りました。

この本を筆者は「LEGO Technic(レゴ・テクニック)のすべての知識とノウハウをギッシリと詰め込んだ本」 と紹介しています。

toranomaki 11


「LEGO」は1934年にデンマークで生まれたプラスチックのブロックを組み合わせていろいろなものを作って遊ぶおもちゃ。皆さんも子供の頃一度はお世話になったことがあると思います。

この「LEGO」にギヤや車輪、シャフトやジョイント、モーターなどメカニカルな部品が加わったのが「LEGO Technic」、さらにパソコンで制御可能な部品を加えた「MINDSTORMS」へと進化する。

「LEGO Technic 虎の巻」は215ページのPDFで、配布はインターネットのみのシェアウエア。気に入ったらお金を払ってちょうだいというもの。内容も配布方法も実験的な試みです。この本の解説や入手方法は以下のURLにあります。

日本語→ http://www.isogawastudio.co.jp/legostudio/toranomaki/jp/


英語 → http://www.isogawastudio.co.jp/legostudio/toranomaki/en/

ページを開くと最初にこの本の主旨やシェアウエアについての説明が日本語と英語で書いてあるだけで後は全く文字はなく、ひたすらカラー写真の作例が並びます。

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タイトルはアイコン化されたイラスト、動作を示唆するときはアイコン化されたイラストと矢印、とことん文字を排除しています。唯一長さや比率を表すときとページ番号にのみ数字が使われています。

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「LEGO」はユーザーの自由な発想でいろいろなものに変身する。そこに手順やルールはなく必要なのは発想や 想像なのです。例えばクレーンを作りたいと思ったときに、ただブロックを積み重ねただけでも想像の世界ではクレーンになります。滑車やギア、車輪などを組 み合わせて形や動きを忠実に再現することもできます。「これがクレーンです」といった完成形はありません。

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「LEGO Technic 虎の巻」は 「LEGO」の高度な作例を紹介することで、ユーザーが自分の作品作りのヒントとし、応用できれば良いというコンセプトなのでしょう。だから手順もいらない、説明もいらない、詳細が見える写真だけで良い。文字がないから国境もない。反響は全世界からあるそうです。

しかし、この手法をなんとか実際の製品マニュアルに応用できないものですかね?

ヤシカマット レストア記ーその9(仕上げ編-2:完成)

巻き上げもシャッターも快調。もう分解することもないでしょう。注文したビニールレザーが届くまでの間に型紙を作ることにします。

剥がしたビニールレザーはボロボロになってしまったので型取りから始めます。

まず、コピー用紙などの薄い紙に上下のレンズと同じくらいの穴を開け、周囲に短冊状の切れ目を入れます。これをレンズカバーにかぶせて鉛筆でおおまかな輪郭を写します。

Front_leather_1

次に少し厚手の紙に輪郭を写し、レンズカバー側はやや小さめに穴を開け、もう一度縁を短冊状に切ってより正確な輪郭を写します。

これをスキャナでパソコンに取り込み、ドロー系のソフトで輪郭を描き、プリントしたものを切り抜いて修正していきます。

Front_leather_21

納得がいくまで修正を繰り返し、完成したら反転した型紙を作っておきます。

Front_leather_3

さて、注文しておいたビニールレザーが届きました。

反転した型紙の裏側にスプレー糊を吹き付け、ビニールレザーの接着面に貼り付け、モルトプレーンカッターで慎重に切り抜きます。

Front_leather_4

フラッシュターミナルとシャッターボタンの丸穴は、外形よりやや小さめに穴を開け、放射状に切り込みを入れておきます。

切り抜きが終わったら接着面のシールを剥がす前にカメラにかぶせて張り出しすぎたところなどを修正します。

修正が終わったらカメラにかぶせた状態で接着面のシールを剥がして貼り付けます。フラッシュターミナルとシャッターボタンのところは、つる首ピン セットや精密ドライバーの先などでビニールレザーを下の隙間へ押し込みます。放射状に切り込みを入れておくことでこの作業が楽になります。

ついにやりました、完成です。

Front_leather_5

レストア開始から約1ヶ月。何とかレストア完了です。

後は実写テストですが、なんだかいとおしくて使うのがもったいなくなってしまいました。

PS. タッチアップに使った水溶性のアクリルラッカーは無水エタノールで拭くと落ちてしまうことが判明。後日シンナー系のエナメルラッカーで塗り直すことにします。

コメント (2) »

  1. 当方、オークションにてヤシカマットを落札する事ができ、WEB検索にてこの記事にいきつきました。
 カメラのキャリアは、30年を越えようとしておりますが、クラモトさんには、到底及びません。
 仕事の関係で、メンテナンスマニュアルを作成する事があるのですが、ここまでの詳細なマニュアルを公開いただき、感謝しております。
CanonのF-1等のマニュアルが御座いましたらご紹介ください。
カメラと一緒にファイルし、有意義に活用させていただきます。 
コメント by 原田 — 2009/5/18 @ 11:29 |編集
  2. 私のブログをお読みいただきありがとうございます。
どちらかというとカメラマニアではなくてメカマニアかな?壊れたカメラを見るとつい分解してしまいます。
私も本職はテクニカルライター。仕様書なしでマニュアルを作るというのも日常茶飯事。カメラの修理は良いトレーニングかもしれません。
Canon F-1等フィルム一眼全盛の頃は安月給で手がでなかったのでマニュアルもありません。
このところ不景気で余裕がないためかカメラの修理もブログもお休み状態。復活しなきゃ。

ヤシカマット レストア記ーその8(仕上げ編-1)

シャッターも動くようになり、レンズカバーもきれいになりました。後はこれらを本体に戻せばレストアも終わりです。

まずはレンズユニットを元の位置に戻します。このとき、シャッターユニットのシャッターチャージレバー(A)と本体のシャッターチャージレバー (B)、シャッターレリーズアーム(C)とフィルム巻き上げレバーのロック解除金具(D)の突起が正しくかみ合うようにします。そして4ヶ所のネジを締め てレンズユニットを固定します。入っていたスペーサーは正しく元の位置へ戻してネジ止めします。

lens_unit_&_body

レンズユニットを取り付けたらとりあえず動作チェックです。ヤシカマットはフィルム巻き上げレバーを時計方向に回すとフィルムを巻き上げながらシャッターをチャージします。下の写真はシャッターがチャージされた状態。

Shutter_charge_01

さらにフィルム巻き上げレバーを時計方向に止まるまで回すとフィルムの巻き上げが完了します。そして、反時計方向に止まるまで戻すとシャッターが切れる状態になります。

Shutter_charge_02

何度かシャッターを切ってみると時々シャッターが完全にチャージされないときがある。シャッター側のチャージレバーを観察すると、ほんのわずかにチャージレバーの押し下げが足らない様子。

レンズユニットの取り付け位置をめいっぱい上に上げてみたがまだ足らない。どこか調整できるようなところはないものかと探したがそれらしきところは 見あたらない。そこで苦肉の策、ちょっと強引ですがチャージレバーをクランク状に曲げて巻き上げ金具に接しているピンの位置をずらしました。

charge_lever_21

これでシャッターのチャージミスもなくなり快調にシャッターが切れるようになりました。シャッターボタンが付いた外側のカバーとレンズカバーを付けて組み立て完了。

そうだ、ストロボのチェックをしていない。レンズカバー右側にあるシンクロ接点切り替えレバーを(X)側にして、ストロボをつないで、シャッターをチャージして、裏蓋を開けて、レンズをストロボへ向けてシャッターを切る。

X_M

おや!、シャッターが切れない・・・?

何度やっても切れない。チャージはしている。そういえば今までシンクロ接点切り替えレバーは(M)側でしかテストをしていなかったというか気にしていなかった。

しょうがない、シャッターまで戻って原因究明するしかない。ということでせっかく戻したカバーを全部外してシャッターを開けて動きを観察。どうやら チャージレバーを戻すスプリングの掛け方が間違っていて先端がわずかにカムの外側に飛び出しており(写真のA) 、シャッターを切ったときに写真Cのツメに引っかかってシャッターが切れなかったようだ。(M)側で問題なくシャッターが切れるのはツメの微妙な角度の差 らしい。

分解前の写真を再度チェックした結果、スプリングの端は写真のBの位置に引っかけなければいけないことが判明。スプリングの端を正しい位置へ引っかけ直してシャッターを切ってみると快調に切れるようになった。

charge_lever_1

やれやれ、50年前とはいえカメラはやっぱり精密機器、あなどってはいけない。しかし最近のカメラのように電子回路は使われていない、純粋にメカだけで作られているので不良の原因は目で見える。解決方法も考えれば見えてくる。

カバー類を再度元に戻して組み立て完了。シャッターも快調。ストロボもちゃんと動作を確認。後はビニールレザーを貼ればレストア完了。

Finish_00

上の写真は組み立てが終わったヤシカマット。ビニールレザーを剥がすときに付いた傷が痛々しい。

インターネットで元のビニールレザーと同じような模様のビニールレザーを発注。到着までに型紙を作っておきますかね。

ヤシカマット レストア記ーその7(シャッター編-3)

レンズカバーにはシャッター速度と絞りの調節リングと表示窓が付いています。内側にはシャッター本体のシャッター速度調節ピンと絞り調節レバーを動 かすリングと、それぞれにリンクしたシャッター速度表示リングと絞り表示リングがあります。これらのリングは部分的に歯車になっており、表の調節リングに 連動してビューレンズとテイクレンズのバヨネットマウント外周を回転します。

lens_cover_11

<シャッター本体のシャッター速度調節ピン(左赤丸内)と絞り調節レバー(右赤丸内)>

shutter


レンズカバー内側に錆はほとんどありませんが、全体によごれやホコリはかなり目立ちます。ここも分解して洗浄します。

バヨネットマウント裏側のリング状のネジをカニ目レンチで緩めて外します。バヨネットマウントが外れて分解できる状態になります。上側は絞りの表示と調節用リングです。調節用リングにはシャッター外周にある絞り調節レバーを引っかける金具がネジ止めされています。

真鍮のスペーサーを挟んで下側はシャッター速度の表示と調節用リングです。調節用リングにはシャッター本体のシャッター速度設定リングに付いているピンを引っかける溝があります。

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バヨネットマウントにはそれぞれ3ヶ所に小さな穴があり、中にバヨネットマウントに取り付けたフィルターなどをロックするためのノッチとスプリング が入っています。バヨネットマウントを不用意に取り外すとこれらのノッチやスプリングが落下してしまいます。なくさないように気をつけて取り扱います。

表の調節リングにネジ止めされている小さめのギヤも取り外そうとしましたが、ネジが固く溝を壊しそうなのであきらめました。

外した部品は、そんなに錆はなかったのですが、除錆剤「エスクリンS-800」に浸して洗浄します。レンズカバー本体もウエス(清掃用の布)に無水エタノールを付けてクリーニングします。

部品のクリーニングが終わったら組み立てですが、これがけっこう大変でした。最初は分解前の写真と表示窓の絞りとシャッター速度の数字の見え具合を 確認して仮組し、シャッターにかぶせて動きと表示を確認して上下のギヤのかみ合わせを修正するのですが、バヨネットマウントのリング状のネジを締め付ける ときに、ギヤのかみ合わせがずれてしまうのです。何度も修正を繰り返し、ようやく分解前の状態に復帰できました。

lens cover_4

黒ずんでいた真鍮やメッキ部分の曇り、表示窓のよごれもきれいに取れました。また、リングの回転をスムーズにするために少量のシリコングリースを真鍮のスペーサーとリングの摺動部に付けました。

これで後は本体から外したレンズユニットやレンズカバーを元に戻せばレストアも仕上げ段階です。

ヤシカマット レストア記ーその6(シャッター編-2)

シャッターの動きを何度も観察しましたが、シャッターレリーズ部(下の写真のAの部分)がシャッタースプリングに直結のカム(下の写真のEの部分) の動きをじゃましている感じです。シャッタースプリングに直結のカムの摺動部に少しシリコングリスを塗ってみると、シャッターボタンを押したままにした 後、シャッターが開きっぱなしになる現象はなくなりました。しかし、ときどきシャッターが切れなくなるという現象は直りません。荒っぽいやりかたですが、 シャッターの機構全体にシリンジで無水エタノールをかけて洗浄してみましたが効果はありませんでした。

こうなると後は分解して清掃するしかなさそうです。シャッターは下の写真のAの部分のシャッターレリーズ部、Bはシャッターチャージレバー、Cはセ ルフタイマー部、Dはシャッター速度制御部、Eはシャッタースプリングに直結のカム、Fはフラッシュ制御部となっているようです。

セルフタイマーは異常がないので、それ以外の部分を分解することにしました。下の写真中央はシャッターチャージレバーとシャッター速度制御部の上の プレートを外した写真です。歯車などの部品はプレートを外したときにバラバラになってしまったので記憶を頼りに戻したものです。Gの歯車がありますが、こ のときはそんなに気にしていなかったのですが後でとても重要な部品だと言うことがわかりました。

shutter_11

上の写真右は、シャッター速度制御部の部品とフラッシュ制御部を外したところです。ン!、右上にワッシャらしきものが写っている(赤丸の中)。どうやらフ ラッシュ制御部を外したときに落ちたらしい。フラッシュ制御部は、ネジを緩めて抜いた瞬間にバラバラになってしまったので何がどうなっていたのか観察する こともできなかったのです。分解前の横からの写真もなし。こんなことでちゃんと元に戻せるのかちょっと不安になってきました。戻せなかったらこのカメラは 単なるジャンクになってしまうのです。しかしここまできたら後戻りはできない。次はレリーズ部にチャレンジ。

今度はフラッシュ制御部の教訓を生かし、斜めからの写真などでスプリングの状況を記録しながら分解します。

shutter_2

Eのシャッタースプリングに直結のカムには強力なコイル状のバネが付いています。どうやらこれがシャッターの心臓部らしい。ここをバラして元に戻す 自信はない。セルフタイマー部とここを除いて分解が終わったら、分解した部品を除錆剤「エスクリンS-800」を2倍に希釈した液に浸して錆取りをしま す。

sabi

除錆剤「エスクリンS-800」は薄い黄色味がかった透明の液ですが、錆びに反応すると赤紫色に変色します。しばらく浸しておくと液全体が真っ赤になりました。かなり錆がひどかったのですね。これじゃシャッターがまともに動かなかったのもうなずける。

錆取りが終わったら、小さな部品を流してしまわないように気をつけて水洗いし、すぐにドライヤーを使って乾燥します。水洗いしたまましばらく放置するとまた錆びてしまいます。

ン!スペーサーが1個足りない!ヒエーえらいこっちゃー。もし無くしたらここまでの作業も水の泡。急いで水洗いをしたキッチンの流しを大捜索。あったー!シンクの排水口脇の水滴の中。あわや生ゴミ寸前に無事救出。

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錆取りが終わった部品を、分解時の写真を見ながら元のように組み立てていきます。シャッター速度制御部はあらかじめ全体を組み立ててから戻さないと 歯車などを正しく組み立てるのは困難です。フラッシュ制御部は真上からの写真だけを頼りに何とかもっともらしく組み立てました。ワッシャも径や位置を考え てたぶんここだろうという位置に入れました。正しく組み立てられたかどうかはストロボを付けてシャッターを切るまでわかりません。錆がひどかったところや 歯車のシャフト部分には、防錆と潤滑を兼ねてシリコンオイルを綿棒に含ませて湿らせる程度付けました。オイルを付けすぎると、オイルがシャッター羽根など にまわって切れをを悪くしたり、故障の原因になってしまいます。付ける場所や量は必要最小限にとどめ、余分なオイルは必ず拭き取っておきます。

すべての部品を元に戻したところでシャッターを切ってみました。ン!、カシャという音はしたのにシャッターは切れない。なぜ?どうして?余った部品もないし、ちゃんと写真通りに組み立てたはずなのに・・・・・。どうやら原因はシャッター速度制御部らしい。

分解前の写真を何度もチェックした結果、上の写真右の赤丸部分、最初の写真のGの歯車の見え方が違う。分解前は歯が3つほど見えているのに組み立て 後は歯が2つで位置も違う。つまりこの歯車の付け方が上下逆だったのです。最初の写真の中央を撮るときに逆になっていたのです。なぜ逆になったかという と、この歯車には片側が歯車根本の突起部、もう片側は横の支柱に引っかけるようになっているコイル状のスプリングが付いています。本当はこのスプリングを 下側にしなければいけなかったのに、スプリングが掛けやすいように上側にして組み立てていたのです。

Gの歯車を正しく戻し、組み立て直してシャッターを切ると、やったー!ちゃんと切れた。

shutter_4

シャッター速度設定リングやプレートを戻し、シャッター速度を変えながら何度もシャッターを切ってみる。見事に回復。シャッター音も力強くなった。

シャッター羽根や絞り羽根のよごれを無水エタノールを綿棒に付けてきれいに落とし、シャッターをバルブで開放してレンズもクリーニング。これでシャッターの修理も無事に完了。

しかし疲れました。結局作業性が悪いのでレンズユニットもカメラ本体から外しましたが、3本のネジの裏側に調整用のスペーサーが入っていました。不 用意に外すとこのスペーサーがどこに何枚入っていたのかわからなくなり、組み立てるときにアラインメントを狂わせてしまいます。このカメラには、右上に2 枚、下側の左右にそれぞれ1枚のスペーサーが入っていました。

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とりあえず大仕事が無事に終わってホット一息。残りもあとわずか、そろそろレストア完了が見えてきました。

コメント (2) »

  1. ひや~、よくここまで分解し、元に戻しましたね。すばらしいです。すごい人っているものなんですね。
機械式カメラはいいですね。当方、ヤシカマット124Gを愛用しており、ほんの少し掃除くらい迄ならやりましたが、流石にここまでは出来ません。尊敬します!
でも、いざというときのために、このページ、参考にさせて頂きます。。 
コメント by ヨシカワ — 2008/10/24 @ 23:05 |編集
  2. この時代のカメラはシンプルで丈夫、少々手荒なことをやっても壊れません。しかし、分解して改めてこの時代にカメラを作っていた人達の知恵や工夫に敬服しました。

ヤシカマット レストア記ーその5(シャッター編-1)

さて、シャッターの調子は依然として良くありません。ビニールレザーにひび割れも剥がれもなく綺麗なのでできれば剥がしたくはないのですが、シャッターを点検するにはどうしてもレンズ周りのビニールレザーは剥がさなくてはなりません。

接着剤の剥離剤やツル首ピンセット、秘密兵器のiPod用ケースオープナー、ドライヤーなどを準備し、意を決して剥がすことにしました。しかし50 年の歳月はそう簡単には剥がさせてくれませんでした。ドライヤーで加熱し、剥離剤を隙間に流し込み、ピンセットやiPod用ケースオープナーを使って慎重 に剥がそうと頑張ったのですが、はっきり言ってボロボロです。破片を集めて並べてみましたが、かろうじて原形をとどめる程度。新しく貼り直すしかありませ ん。

Front_leather

ビニールレザーを剥がすと、大、中、小と3種類のネジが現れます。まずは最も小さなネジ5本を緩め、シャッターと絞り設定ノブの付いたレンズカバーを外します。 シャッターの外観が見えてきました。

Lens_cover1

次はテイクレンズを反時計方向に回し、緩めて外します。

Take_lense_off1

周囲に凹みの付いたアルミの止めネジを反時計方向に回し、緩めて外します。これでシャッター速度が印刷された表面のプレートとシャッター速度設定リングが外れ、シャッターの機構が見えるようになります。

Shutter_inside1

シャッターの周囲がもう少し良く見えるように中サイズのネジ4本を緩め、シャッターボタンが付いた前面のカバーも外します。

Outer_cover_off1

大きなサイズのネジが4本残っています。これを緩めるとレンズユニット全体を外すことができますが、レンズ取り付けの微妙なアラインメントが狂ってしまう危険性があるので分解はここまでにしておきます。

シャッターのメカはビスやプレートにところどころ錆びが見受けられます。この状態でチャージしてシャッターを切ると1秒ほどの速度で切れるのです が、シャッターボタンを押しっぱなしにするとボタンを離してもシャッターが開いたままで止まってしまいます。正常だとボタンを離すとシャッターは閉じるは ずなのです。どこか動きが固くなって引っかかっているのか?それともどこかのスプリングがへたっているのか?

まずはシャッターの動きを良く観察し、原因を突き止めることにします。

ヤシカマット レストア記ーその4(側面・裏蓋編)

今回はカメラ本体の両側面と裏蓋の汚れを落とし、フィルム室のクリーニングをします。

フィルム室カバーは、カメラ側面上部にあるストラップを取り付ける金具を外すと外れます。金具は両サイドそれぞれ3本のネジを緩めて外します。

Screw

Remove_back_cover

外した金具とビスは小皿に防錆剤を入れてしばらく浸けておき、水洗いして乾燥すると表面の錆びが落ちてピカピカになります。

次はフォーカシングノブのDINとASA表示部分が汚れているのでクリーニングします。

どうやったらはずせるのかなー、とりあえず真ん中の黒いプラスチックキャップを外してみます。このキャップには2つの小さな穴があります。これはカ ニ目レンチというカメラ専用工具を使って反時計方向へ回して外します。カニ目レンチは大手のカメラ量販店などでレンジファインダーオープナーの名称で売っ ていますが3.000円前後とけっこうなお値段です。コンパスなどで代用しているという方もいるようです。

Kanime

中にこのノブを外すナットが見えますが、DINとASAのプレートを外す仕掛けは見あたりません。このノブを外すとカメラのピント合わせが狂う危険があるためやむなくキャップを元に戻し、綿棒に中性洗剤を付けて汚れを落とし十分に水拭きします。

次に、スプール着脱ノブの汚れを落とそうと何度か引っ張っているうちに下側のノブが突然ロックして動かなくなってしまいました。押したり引いたり回 したりしているうちに戻りましたが、ノブを引っ張って隙間から中を覗くとグリスが固まって真っ黒です。ノブをボディから外そうとチャレンジしましたが、固 くて回らないのであきらめ、隙間からシリンジを使って無水エタノールを注入して洗い流すことにしました。シリンジは注射器の針が尖っていないもの?、近く のホームセンターで大中小3本セットで売っていました。写真に写っているのが大です。値段は忘れましたが1,000円はしなかったと思います。

Melt_grees

グリスを十分に洗い流し、汚れた液が出なくなるまで乾燥します。これでノブの動きも軽くなりました。ノブの周りに少し錆びがありましたが、防錆剤を 綿棒でぺたぺたと錆びた部分付けるときれいになりました。錆が落ちたらこんどは水を綿棒でぺたぺたと付け、防錆剤を十分に洗い流してから乾燥します。防錆 剤も水も付けすぎて他の部分やボディとの隙間などに入らないように注意します。

金属部分の汚れを落としたらビニールレザーの手入れです。自宅の靴箱に「ラナパー」という革手入れ用のクリームがあったので、インターネットで調べたらビニールの手入れにも使えると書いてあったので試しに少し塗ってみました。

Wax

汚れも落ちるし、艶も出ました、臭いはまったくありません。それに、何よりもべたつかないのには驚きました。ビニールレザーの部分に綿棒に少量付け たクリームをまんべんなくのばし、乾いた雑巾で磨いても金属部分に何も付かないのです。普通このようなグリス系のクリームは金属部分にも油を引いたような 跡が残るのですが、それがまったくありません。他のものを使ったことはありませんがこれは当たりだったかもしれない。写真は250mlで、インターネット 通販で3,000円前後で売っています。

これでボディの側面と裏蓋が新品みたいにピカピカです。

Crean_up

裏蓋内部はそんなに汚れてはいなかったのですが、フィルム室は綿棒で細かな汚れやホコリを取り除き、テイクレンズ後部は割り箸の先にクリーニングペーパーを巻き付けて綺麗に磨き、金具と裏蓋を元の通りに戻します。

Firum_room

Finish

これでボディ側のレストアは一応終わりです。跡は最大の難関レンズ系です。相変わらずシャッターの調子は良くありません。シャッターを開くにはレンズ周りのビニールレザーを剥がさなくてはなりません。大修理になりますがそろそろ覚悟を決めなければ。

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  1. カメラの革の手当てにラナパー情報、
非常に役立ちました。
我が愛器に革のひび割れが出ていて困ってました。
有難うございました

ヤシカマット レストア記ーその3(ファインダー編-2)

さてさて、フレネルレンズのキズはどうしたものか。ここまできたらもう何でも試してやれと、今度は台所用の研磨剤入りの洗剤で磨いてみた。ヒエー!、全体が傷だらけになってしまった。傷口に塩を塗り込んだようなものだ、アー、もうなすすべはなしか?

とりあえずフードの錆の部分をタッチアップする黒のペイントを探す。カメララッカーという名前で製品はあるがとてつもなく値段が高い。成分もわからない。近所の日曜大工などの工具を売っている店へも行ってみたが、スプレー以外は巨大な缶入り。

そうだ、プラモデル用という手がある。タミヤのサイトを検索したらビンゴ!!

種類は最も手軽で量も少ない水溶性アクリルラッカーに決めた。オンラインショップで注文できる。黒とつや消し剤(黒とまぜるだけでつや消しになる し、まぜる量でつや消しの度合いも調整できる)、溶剤(筆を洗ったり、塗装前の表面の洗浄に使う)、他に必要なものはないかと見ていたら「クリアー」とい う色に目がとまった。「クリアー」つまり「透明」。これだ!思わず手をたたいた。

フレネルレンズのキズに「クリアー」ラッカーを塗り、乾いたらコンパウンドで磨く。フレネルレンズはプラスチック製なのでアクリルラッカーとの相性 もいいはずだ。というわけでさっそく必要なものを購入して補修をしてみた。思った以上に大成功。多少キズは残ったが実用上はほとんど気にならない。台所用 の研磨剤でついたキズもきれいに取れました。

というわけでレストア用の必需品として「準備編」プラモデル用のアクリルラッカーやコンパウンドを紹介したのです。

FOCUSING_GLASS_01

フードの錆びていた部分も錆を落とし、黒につや消し剤を少しまぜてタッチアップ。フード後部の覗き穴右側にあった錆びた部分も錆を落としてタッチアップ。タッチアップ部分のつや消しが目立ったので細目のコンパウンドで全体を磨いたらほとんどわからなくなりました。

HOOD_01

フードにピントグラスとフレネルレンズを組み込み、板バネを付けて完成。板バネを付けるときはフード側のツメを起こしておくと付けやすい。このときにもフレネルレンズにキズを付けないようにご注意を。今回はうまくいった。

ミラーも内部をクリーニングした本体に戻す。分解したときとは別物のように美しい。

FOCUSING_GLASS_02

フードを本体に戻し、4本のネジを締めて終了。入手直後と同じ場所をファインダーに写すと格段にクリアで明るくなったのがわかります。下の写真の左側がレストア前、右側がレストア後。

Finder_2


いろいろとハプニングはありましたが、ファインダー部のレストアは何とか終わりました。

次はどこにしようかな・・・、あまり気を遣わなくてもいい側面と裏蓋あたりのクリーニングでもしますかね。

ヤシカマット レストア記ーその2(ファインダー編-1)

さて、いよいよヤシカマットのレストアの開始です。まずは雑巾を固く絞ってカメラの汚れやカビを拭います。頑固な汚れは中性洗剤を少しつけて拭き取ります。これだけでもカメラは見違えるほど綺麗になります。

カメラの汚れを拭き取ったら、カメラ上部のフードを外し、内部のミラーやピントグラスの汚れを落とします。

フードを開き、左右2ヶ所ずつ、合計4ヶ所のネジを緩めます。

Yashika_Mat_01

ネジを外したらフードをまっすぐ上へ持ち上げて外します。

Yashika_Mat_03

ミラーはホコリで汚れてはいますがカビは見あたらず、この年代のカメラとしては非常に綺麗です。

ミラーは、一番底の部分と中央部左右の3ヶ所のツメにミラー裏側の板バネで押しつけられています。上部のツメ(写真の赤丸) を下に押して外し、ミラー縁を持って全体を少し下へ押しながら外側へスライドさせて外します。このときミラー面を指で触ったりツメでキズをつけたりしない ように気をつけましょう。

Yashika_Mat_04

ミラーを外したら、板バネも外し、綿棒などでカメラ内部の汚れやホコリを拭き取って綺麗にします。ビューレンズの後端もレンズクリーニングペーパー を割り箸の先に巻き付けるなどしてホコリや汚れ、カビなどを綺麗に拭き取っておきます。レンズの汚れやカビがなかなか取れないときは、クリーニングペー パーに少量の水やアルコール(無水エタノール)を含ませて拭き取ります。

Yashika_Mat_06

次はフードの底に取り付けられているピントグラスを外します。ピントグラスは磨りガラスとプラスチックのフレネルレンズを重ね、上下2ヶ所を板バネ で留めてあります。板バネは、中央部を押し下げてフード側の出っ張りから外せば取れるのですが、これがけっこう難しい。細いマイナスドライバーなどでこ じって外そうとすると、ピントグラスの縁を傷つけたり、フレネルレンズにキズをつけたりするので注意しましょう。

ウギャー!!手元が滑った・・・フレネルレンズにキズが(写真の赤丸内)・・・・、やってしまった。

Yashika_Mat_07

傷つけてしまたものはしょうがない。皆さんにはフレネルレンズをあらかじめマスキングテープで保護しておくことをお勧めします。

板バネを引っかけているフード側の出っ張りはけっこう柔らかいので、十分に起こしてから板バネを外すのもコツです。板バネを外したらピントグラスと フレネルレンズをフード後部に抜き取ります。板バネを引っかける出っ張りがじゃまなときはピントグラスが引っかからないところまで押し込んでください。

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これでなんとかピントグラスとフレネルレンズが外れましたが、フード側にけっこう広範囲な錆があります。

さて、どうしたものか。錆は塗装を剥がして除錆剤で錆を落として黒く塗り直せばいい。しかし、フレネルレンズのキズはどうしよう。このままだとファ インダーを覗いたときにピントグラスに糸屑が張り付いたようなキズが目立ってしまう。完全主義者の私としては許せない。ちょうど同じ年代のヤシカフレック スのフレネルレンズがあったので合わせて見たら、サイズは合うが透明感がまったく違う。ムムム、これがカメラの値段の差か。

とりあえずミラーとピントグラスとフレネルレンズを中性洗剤を使って綺麗に洗い、乾燥させる。 しかしやはりどうしてもフレネルレンズのキズが気になる。幸いレンズ側ではなくフラット面側なのでなんとかなるかもしれない。思い切ってミニグラインダーのバフで磨いてみた。

どひゃー! キズは目立たなくなるどころか摩擦熱で表面に凹凸が・・・ キズがさらに広がってしまった。

落ち込んでしまいました。続きは次回。

ヤシカマット レストア記ーその1(準備編)

カメラのレストアに欠かせないのは精密ドライバやピンセットなどの工具類や、細部をチェックするためのルーペなどです。中でも古いカメラの分解で最 も重要なのはドライバです。特に錆び付いてかたくなったネジなどをゆるめるときは、ネジの頭にピッタリと合うサイズのドライバを使わないとネジを壊しかね ません。
私の愛用品は、レンズを交換すれば自由に倍率が調節できるヘッドルーペ、先換え式の精密ドライバ、単品で使用頻度の高い00番のクロスと 1.8×0.5mmのマイナス、ツル首ピンセットなど。先換え式の精密ドライバにはトルクスも入っていますのでノートパソコンのHD交換などにも使えま す。

TOOL_01

単品で購入することはできませんが、とても重宝しているのがiPodの交換バッテリに付属のケースをこじ開けるツール。プラスチックなのでボディやレンズを傷つけずに部品を外したり、汚れや錆を落としたり、ビニールレザーをはがすことができます。

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工具は、カメラを分解するにつれいろいろなものが必要になりますが、それらの工具はその都度紹介します。

さて、古いカメラで最もやっかいなのが「錆」です。私はネット検索でとても良い除錆剤を見つけました。「エスクリンS-800」という鉄や銅、真 鍮、ステンレスなどの錆が落とせる中性で水洗可能、有害物質を含まない環境にもやさしい除錆剤です。プラスチックや塗装部分を傷めることもありませんし、 プリント基板にも使えますので非常に便利です。ネットでのみ1リットルボトルを購入できます。「エスクリンS-800」で検索するとすぐに見つかります。

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分解できる部品やネジなどは小皿などに液を入れて浸けておき、外せないところは綿棒で液をつけて錆が落ちたら十分に水拭きします。臭いはけっこう強烈なので、 長時間嗅いでいると気分が悪くなることがあります。換気扇の下などで作業することをお勧めします。

塗装部分の錆は塗装を剥がして錆を落とし、塗装し直すことになりますが、私はプラモデル用のアクリルラッカーを使っています。塗った後が目立つときは、コンパウンドで磨くと目立たなくなります。

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上の写真は左から「黒」、「つや消し剤」、「透明」、「溶剤」です。下は筆のベーシックセットです。ラッカーがそれぞれ150円、筆が300円、量も値段もお手頃です。水溶性なので使用後の筆や容器の手入れも楽です。

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コンパウンドは「粗目」、「細目」、「仕上げ目」 を揃えています。これらのラッカーとコンパウンドは意外なところでも役に立ちます。その話は次回のお楽しみ。